同型反復に対する判定基準について  2004.1.1

1.概要

同型反復について、V7.04以前はコウ以外の同系反復は攻撃側に回避義務があるとしていましたが、V7.10では同型再現禁止を基本ルールとし、全ての同型反復に対してコウ条件を適用することにしました.。

つまり判定条件がコウ有利である場合はコウ立てをして相手が受けたものとして判定領域内を同型に戻すことができるとして判定します。

2.判定基準による判定結果の相違例

(1)三劫

┌●●●●○┬○●┬
●○●○●●○○●┼
○○○┼○○○●●┼
●●○○○●●●┼┼
├●●●●●┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼

従来基準では黒先手無し。新基準では黒先コウ。

同型反復から外れた方が負けになるのでコウ材の多い方が勝つ。つまりコウ。

(2)長生

┌○┬●┬○●┬┬
●○○○●●○○┼
●●●●●○○┼┼
○○○○○○┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼┼┼

従来基準では黒先活き。新基準では黒先コウ。

(1)に同じ。

(3)眼あり眼なし三劫

●┬●┬●○●┬
●●●●○○●┼
○●○●○●●┼
├○┼○○●●┼
○○○○●●┼┼
●●●●●┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼┼

従来基準では黒先手無し。新基準では黒先白死。

白は同型反復するためにはコウ材が必要だが、黒は手抜きする余裕があるので、白が一方的にコウ材を消費することになり持ちこたえられない。

(3)両コウゼキ内の一眼と欠け目

┌○┬○┬○●┬●○●┬
○●○○○○●●○○●┼
●●○●●●●●○●●┼
●○●●┼●○●○●┼┼
●○○●●○┼○○●┼┼
●○┼○○○○○●●┼┼
●○○○●●●●●┼┼┼
●●●●●┼┼┼┼┼┼┼
├┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼

従来基準では黒先手無し。新基準では黒先白死。

新基準では両コウゼキは無限のコウ材とはならず、白は外部にコウ材がなくなれば取られることになるので死と判定される。

3.新基準採用の理由

(3)の例は「日本囲碁規約」では中央の白は両コウゼキだが隅の白は死に石なのでセキ崩れで白全滅という説明をしていますがルールに従って打ってみて取る手がないというのはおかしな話です。

コウの取り返しだけでなく全ての同型再現を禁止することにすれば実際に打ってみて白石を全て取ることができることを証明できます。

全体を要素別に分離し各部分の判断を繋ぎ合わせて全体を総合的に判断するというのが人間の思考過程として自然なので「セキ崩れで白全滅」という判断は当然でありそうあるべきともいえます。

盤面全体についてのみ同型再現を禁止するという簡明なルールに従った方が分離統合して判断した結果と整合が取れるというのが面白いところです。

ただしコンピュータを使わずにどこで同型再現が発生しているかを見つけるのは私のような凡人にとっては非常に大変であるのは事実ですが。